この話は2021年にミャンマーで起こったクーデターを描くストーリー。クーデターからの激しい弾圧。国民達の軍との戦い。そして、現地でクーデターを直接体験したこと。
至る所に構築されたバリケード
軍政に反対する国民たちは軍や警察が自分達の地区に侵入してこないように至る所にバリケードを作り上げ、ヤンゴンにおいても街の主要道路や小道は通行が困難な状態になりました。
そして、そのバリケードの前には軍に反対する勇敢な若者たちが集まり、軽武装をして、ストライキを始めたのです。
軍に反対の声をあげる地域の住民に対し軍はそれらを一掃しようとトラックで乗り付け人員を投入し、住民たちと対峙します。
もう戦争映画にでてくるような状態です。
これがすぐ近所で繰り広げられてるんですから、毎日がヒヤヒヤものです。
軍はバリケードを破壊しようとします。そして、銃で威嚇し、ストライキをしている人達を散らし火を放ったり、ブルドーザーで破壊したりします。
街の主要な道路でバリケードは作られ、その通りは全く車も走れない状態。しかし、この時期はほとんどの住民は家から外にでず、ネットで彼らの事を見守っていました。
もちろんタクシーなんかも仕事になりません。バスも走らず、完全に経済活動は止まりました。
しかし、バリケードが破られると一目散に若者達は走ります。軽武装の国民たちは重装備の軍には到底かなわないからです。
追い込まれて捕まると命の保証はありません。軍は抵抗する人を片っ端から捕まえるという作戦です。
多くの若者が銃で撃たれ
多くの若者が捕まった
圧倒的な装備の差で抵抗する若者たちは追いやられていきます。時には追い込まれ逃げ道も塞がれるように包囲され、付近の住宅に逃げ込んだ若者たちもいます。
しかし、一軒一軒夜間に家宅捜査を行い、隠れている若者たちを捕まえていきました。ネット上ではその様子もどんどん投稿され、「助けて!」「みんな逃げて!」とものすごいコメントの数です。
こんな攻防が毎日毎日続きます。それをネットで国民たちは固唾をのんで見守ります。
たくさん構築されたバリケードは軍によってどんどん破壊されていきました。2カ月ほど続いた攻防ですが、徐々に軍によりバリケードは破壊され、また多くの犠牲者を出したために、抗議するもの達は解散させられていったのです。
ゲストリスト法によるあぶり出し
そして、不振な放火事件
そして、軍は反抗勢力のあぶり出し作戦として、ゲストリストの洗い出しを始めます。
ゲストリストと言うのは、世帯の住民リストで、この家に誰が住んでいますと言う届け出をするのですが、外部から来た人が滞在する場合は届け出をしなければならないと言うものです。それに基づき、家庭捜索を行いリストに載っていない人を連行する口実を作りました。
多くの反抗勢力になった若者たちは、外から集まった人も多く、ゲストリストで洗い出され、捕まることをおそれました。
このように反抗勢力の国民たちを拘束し、見せしめることで、反対するものはひどい目にあうという見せしめを行い、その目を摘み取ろうとしたのです。
また、夜間には頻繁に火災が発生したり、爆弾が爆発するようになりました。
反対勢力がやったのか軍が自作自演しているのか真相は闇の中ですが、次から次へと、区役所、学校、警察署などが放火され燃えました。
大量虐殺による押さえ込み
国民とのせめぎ合いが続く中、国民の戦意を喪失させるような大虐殺が行われました。多くの命が失われました。ここでは掲載できないような凄惨な写真や映像がたくさんあります。
一日に100人を超える国民が撃ち殺され、ロケットランチャーなどを容赦なく浴びせられ大量に虐殺され、若者たちが、ロケットランチャーの威力で吹き飛ばされる姿。
目を覆いたくなるような写真や映像ばかりが流れてきて、ただただ見ていることしかできませんでした。
激しい弾圧により、国民もバリケードを捨て、おもむろに抵抗することを諦めます。そして、街からバリケードは消えたのでした。
国民たちは次なる作戦の準備に入っていました。
これまでは非暴力を貫いていましたが、多くの若者は地方の民族軍に入隊し、トレーニングを積み、国民防衛軍の結成を進めていたのです。そして、次回で現在に至るまでを描きます。